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樹木葬がおすすめ|種類や特徴、費用相場、埋葬方法や購入方法など

樹木葬

近年、多くの方々が注目している「樹木葬」。緑豊かな森の中で、温かな木々に囲まれて眠るこの方法は、環境にやさしい埋葬方法であり、大自然の中で静かに眠ることができる方法として、多くの方々に愛されています。

しかしながら、樹木葬についての情報がまだ十分に普及していないため、選択に迷われている方もいらっしゃることでしょう。

この記事では、樹木葬のさまざまな面について詳しくご紹介いたします。専門家のアドバイスを交えながら、樹木葬の素晴らしさやメリットをお伝えします。さらに、樹木葬の種類や特徴、費用相場、埋葬方法や購入方法などについて理解していただくことで、あなたの悩みや疑問を解消できればと思っています。


樹木葬の魅力について

樹木葬は、樹林墓地としても知られ、伝統的な柱体の墓石を建てるのではなく、樹木や花が墓標となるお墓のスタイルです。従来の墓地のように、冷たい印象の墓石が所狭しと並ぶのではなく、心地よく美しい自然の中で眠ることができる魅力を感じられるのが、樹木葬の特長です。

この形式の墓地は、値段も比較的安価であるため、自然の中で永遠の安らぎを見つけたいと考える方にとって魅力的な選択となっています。また、樹木葬では個別に管理やメンテナンスを行う必要がないため、墓石の後継者がいない方にとっても特にメリットのある墓地と言えるでしょう。

さらに、樹木葬は環境に配慮した方法でもあります。自然の中で葬られることで、遺体が自然に還り、新たな命として森や樹々に育っていくのです。これは、樹木葬を選ぶ方々にとって、自然への感謝と環境保護への意識を深める意義深い点でもあります。

大切な方を永遠の眠りにつかせる場所として、樹木葬は心温まる選択肢となることでしょう。美しい自然の中で愛する人との思い出を育むことができることで、悲しみを癒し、喜びを見出すことができるでしょう。樹木葬の素晴らしさをより多くの方に知っていただき、自然と共に永遠の命を紡ぐ尊い選択肢として広がっていくことを願っています。

樹木葬の特徴について

樹木葬の特徴は、以下のような点が挙げられます。

自然に還ることができます

樹木葬では、遺体が人工的な墓地ではなく、自然の中に埋葬されるため、自然の一部として還ることができます。この環境に優しいアプローチは、自然愛好家や環境保護に心を寄せる方々にとって特に魅力的です。

遺族の負担を軽減できます

樹木葬は、墓地の管理やメンテナンスが個人で行う必要がないため、遺族の負担が軽減されます。伝統的な墓地では墓石の清掃や手入れが必要でしたが、樹木葬ではそれらの心配がありません。

墓石代が不要のため費用がかかりません

通常の墓地では墓石を建てる必要があり、その費用はかなりの額になることがありますが、樹木葬では墓石が不要なため、その分の費用を節約することができます。

継承問題の心配がありません

伝統的な墓地では、墓地の継承問題が起こることがありますが、樹木葬ではそうした心配がありません。遺族がいなくなった後も、自然の中で静かに眠り続けることができます。

宗旨や宗派が不問です

樹木葬は宗旨や宗派に関係なく利用することができます。宗教的な制約に縛られることなく、自然の中で永遠の安らぎを見つけることができるのです。

これらの特徴により、樹木葬は自然を愛する人々や環境への配慮を大切にする方々にとって、理想的な墓地の形態として注目されています。大切な方の最後の旅路を美しい自然の中で優しく送ることで、心に平和と慰めをもたらすでしょう。

樹木葬はお墓選びの中で最も人気の高いお墓です

「樹木葬」は、最近ますます人気が高まっているトレンドです。
募集が開始されるとたちまち予約が埋まり、中には応募倍率が10倍にもなるほどの人気施設も存在します。

鎌倉新書」による2021年の「第12回お墓の消費者全国実態調査」によると、購入したお墓の中で最も多い選択肢は「樹木葬」であり、前回の第11回調査よりもさらに多くの人々がこの形式のお墓を選んでいることが分かりました。

この急速な人気増には、樹木葬の持つ魅力が大きく寄与しています。自然への帰還と環境への配慮をテーマにした樹木葬は、自然を愛する人々や環境保護への意識を高めたい方々に特に支持されているようです。また、墓石を建てる必要がないため経済的な負担も軽減され、宗教的な制約がないことも選ばれる理由となっています。

自然との共生を望む現代の価値観に合致する樹木葬の人気は今後も拡大していくことが予想されます。大切な方の最後の旅路を美しい自然の中で安らかに送るという願いは、多くの人々に共有されており、樹木葬が人々の心を引き寄せているのです。

お墓の消費者全国実態調査

出典:【第12回】お墓の消費者全国実態調査(2021年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向

樹木葬の種類

樹木葬は、主に「庭園タイプ」「公園タイプ」「里山タイプ」の3つに大別されます。

特に都市部では、「庭園タイプ」の樹木葬施設が増加しており、その人気も高まっています。これは、都市近くに位置し、美しい庭園を有する樹木葬スペースが増えていることを意味しています。

庭園タイプの樹木葬

宮城県仙台市の若林樹木葬
宮城県仙台市の若林樹木葬

庭園タイプの樹木葬は、公園のように整備された美しい空間の中にシンボルツリーや花木を植えるタイプの墓地です。こうした樹木葬スペースは、庭園やガーデニング風の雰囲気を保つように丁寧に管理されています。

庭園タイプの樹木葬施設は、寺院の境内墓地や霊園の一角を利用することもあります。これにより、都市部でも自然に囲まれた場所で樹木葬を行うことが可能となり、「都市型」の樹木葬としても位置づけられています。

これらの施設は都市部の喧騒から離れ、穏やかな自然の中で過ごすことができるため、多くの人々にとって心地よい墓地の選択肢となっています。庭園タイプの樹木葬は、美しい緑と花々に囲まれながら大切な方と永遠の安らぎを見つけることができる場所として、愛されているのです。

公園タイプの樹木葬

東京都町田市 笑みの木
東京都町田市 笑みの樹(ほほえみのき)

公園タイプの樹木葬は、広々とした墓域に樹木や芝生が植えられ、まるで公園のような印象の環境が整備された墓地のスタイルです。

このタイプの樹木葬では、霊園内の一区画を樹木葬として利用する場合や、墓域に1本から数本のシンボルツリーを植える形式もよく見られます。広大なスペースに樹木が配置されることで、訪れる人々に心地よい散策や憩いの場を提供することができます。

公園タイプの樹木葬施設は、都市部や地方に問わず、自然との調和を重視する方々にとって特に魅力的な選択肢となっています。美しい自然の中で大切な方との思い出を育みながら、心穏やかなひとときを過ごすことができることから、多くの人々に愛されているのです。

公園タイプの樹木葬は、都会の喧騒から離れて自然と触れ合いたい方や家族連れにとって、特別な場所として大きな魅力を持っています。自然の中で永遠の眠りを見つけることができる公園タイプの樹木葬は、心にやすらぎと感動をもたらすことでしょう。

里山タイプの樹木葬

長野県の樹木葬
長野県の樹木葬

里山タイプの樹木葬は、自然とのより密接な環境の中で行われる、自然保全の役割を持った墓地のスタイルです。このタイプの樹木葬では、里山の豊かな草木を大切にし、人々を弔うための場として利用しています。

里山タイプの樹木葬施設は、広大な山林などを利用しています。一区画に1本ずつ樹木を植えることが一般的であり、こうした配置によって、自然と調和した墓地空間を創り出しています。

こうした里山タイプの樹木葬は、特に自然愛好家や山岳信仰を持つ方々にとって魅力的です。広大な自然の中で大切な方と共に永遠の安らぎを見つけることができるため、心に癒しと感動をもたらすでしょう。

里山タイプの樹木葬は、自然の営みを尊重しながら人々の最後の旅路を包み込む場所として、多くの方々に支持されています。豊かな自然と共に大切な人との絆を育み、新たな命として自然に還ることで、自然との共生を象徴する樹木葬として愛されているのです。

樹木葬の埋葬方法

樹木葬の埋葬方法にも、3つあります。

遺骨を自然に還す散骨方法

遺骨を埋めることを行わず、遺骨を微細に粉砕して撒くという散骨のような埋葬方法があります。この方法は、散骨後に遺骨を取り出すことが不可能になるため、慎重に行われる必要があります。

散骨は、自然への帰還を象徴する美しい形式の埋葬方法として、多くの人々に選ばれています。遺骨を細かく粉砕し、広い範囲に撒くことで、故人の存在が新たな命として自然の一部となることを感じられるのが特長です。

しかしながら、散骨は一度行われると、遺骨を取り出すことが不可能になります。そのため、散骨を決定する前によく考慮し、家族や遺族の意向を確認することが重要です。また、法律や地域の規制にも留意する必要があります。

散骨は特別な環境や場所で行われることが一般的であり、美しい自然の中で遺骨を還すことで、心に平穏と感謝の念を抱きながら、大切な方を永遠の眠りに送ることができるでしょう。

布などに包んで埋葬する方法

遺骨を他者の遺骨と混ざらないように保護するため、布や袋などに包んだ状態で納骨する埋葬方法があります。

この埋葬法には、複数の人の遺骨を一つのスペースに共同して埋葬する共同埋葬型と、遺骨を個々の区画に分離して埋葬する個別埋葬型があります。

共同埋葬型では、複数の遺骨を同じ墓地や墓穴に一緒に納骨します。一つの場所に多くの遺骨が合祀されるため、特定の場所に複数のご先祖様が眠ることとなります。

一方、個別埋葬型では、個々の遺骨を区画ごとに分けて埋葬します。それぞれの遺骨は独立して納骨されるため、個別の区画にお参りや供養を行うことができます。

この埋葬方法では、遺骨を包んだ布袋などが土中で腐敗すると、他の遺骨と一緒になって合祀されてしまうリスクがあるため、慎重な取り扱いが必要です。特に個別埋葬型では、遺骨を個々に保持するための注意が欠かせません。

遺族や家族の意向に合った適切な埋葬方法を選ぶことが大切であり、遺骨を永遠の安らぎに送る際に、心の整理と適切な取り扱いを念頭に置くことが大切です。

専用の壺や筒などに入れて埋葬する

寺院や霊園専用の壺や筒に遺骨を納めることで行われる埋葬方法があります。

この埋葬方法には、一つの墓地や墓穴に複数の遺骨を共同して納骨する共同埋葬型と、個々の遺骨を区画ごとに個別に埋葬する個別埋葬型が存在します。

専用の壺や筒に遺骨を納めることで、他の人の遺骨と混ざることはありません。これにより、遺骨を個別に保持したい遺族の意向にも応えることができます。

しかしながら、一部の霊園では一定期間経過後に、他の遺骨と合祀して土に還すという方法をとることもあります。この場合、合祀後に個別に取り出して改葬することはできなくなります。

また、上記のいずれの埋葬方法であっても、最終的には土中に埋葬されることが一般的です。そのため、埋葬した遺骨を後から取り出して改葬する予定がある場合は、樹木葬は避けるべきであるという点に注意が必要です。

遺族の意向や状況に応じて適切な埋葬方法を選ぶことが重要であり、大切な方の遺骨を尊重し、心に安らぎを与える墓地選びを行うことが大切です。

樹木葬のシンボルツリーの種類

樹木葬で墓標として使われる樹木は、多くの人に馴染みがあり、花が咲くものが好まれる傾向があります。こうした樹木は、故人への思い出や愛情を表現する象徴的な意味合いを持つとともに、美しい花や緑によって故人の永遠の眠りを彩ります。

以下に、墓標としてよく使われる樹木をいくつか紹介しますが、樹木葬で使用される木の種類は他にもさまざまありますので、それをご了承ください。

ツツジ(映山紅)

埼玉県越生町の公営樹木葬
埼玉県越生町の公営樹木葬

樹木葬でよく利用されている花木の一つがツツジの木です。ツツジはあまり大きくならず、赤や白い花を咲かせる美しい樹木であり、その扱いやすく強健な性質などが特徴です。

ツツジは、日本では春から初夏にかけて美しい花を咲かせる花木として愛されています。樹木葬では、この花の美しさや豊かな色彩が故人への感謝や思い出を表現するのにふさわしいとされています。

また、ツツジはあまり大きくならないため、樹木葬のスペースに適しています。小さな墓地や個別の区画に植える際にも適切であり、遺族や家族にとって管理がしやすい点も魅力的です。

さらに、ツツジは強健な性質を持っており、育てやすい花木としても知られています。日当たりや水はけの良い場所に植えることで、美しい花を長期間楽しむことができます。

ツツジの木は、樹木葬の場所を彩り、故人の永遠の眠りを美しい花々で祝福する意味合いを持っています。多くの方にとってツツジは身近で親しまれる花木であり、樹木葬においてもその美しさと扱いやすさから人気を集めているのです。

サクラ(桜)

神戸西区 海と桜のメモリアル樹木葬
神戸西区 海と桜のメモリアル樹木葬

桜は、日本人にとっていちばん好まれる人気のある樹木の一つです。全国的に見ても、樹木葬として最もよく利用されているのが桜の木です。

桜は寿命が長く、大きな木に成長するため、多くの樹木葬では集合墓の形態をとり、桜の木の周りに多くの遺骨を埋葬することが一般的です。

集合墓は、一つのスペースに複数の遺骨をまとめて納骨する形式であり、その中でも桜の木の周りに埋葬されることが多い理由はいくつかあります。

まず、桜の花は日本の四季を象徴する美しい花であり、春に咲く桜の花は日本人にとって特別な意味を持っています。そのため、桜の木の下で故人を偲ぶことは、季節の移ろいと共に故人を想う心と結びつけることができます。

また、桜は日本の伝統的な風景や文化とも深く結びついており、多くの人々にとって親しみ深い存在です。桜の木の下で永遠の眠りにつくことは、日本人の心にやすらぎと感動をもたらすでしょう。

このように、桜の木はその美しい花と文化的な意味合いから、樹木葬の中でも特に多くの人々に選ばれています。大切な故人を桜の木の下に眠らせることで、日本人の心に深く刻まれる永遠の絆を感じることができるのです。

ハナミズキ(花水木)

千葉県船橋市 ならしのガーデンパーク
千葉県船橋市 ならしのガーデンパーク

ハナミズキも桜と同様に人気のある樹木です。特に街路樹としても人気があります。

ハナミズキは、桜に比べると大きくならない低木で、春には白い花を咲かせ、秋には温暖地でも鮮やかな紅葉を楽しむことができます。

桜と同じく、ハナミズキの花も春の訪れを象徴し、清楚で美しい姿は多くの人々に愛されています。桜が日本の四季の中で特別な意味を持つように、ハナミズキもまた春の息吹を感じることができる花として、樹木葬において重要な役割を果たしています。

また、ハナミズキは低木であり、比較的小さなサイズに育つため、樹木葬のスペースに適しています。街路樹としてもよく利用されているのは、その美しい花と紅葉、そして手入れが比較的容易であることが理由です。

ハナミズキは四季折々の美しい姿を見せてくれるため、樹木葬の中でも特に親しまれています。春には花が咲き、秋には紅葉を楽しむことができるハナミズキの木の下で、故人への思いやりを込めて静かな時間を過ごすことは、心に平穏と感謝の念をもたらすでしょう。

サルスベリ(百日紅)

エンディングセンター桜草墓地
エンディングセンター桜草墓地

サルスベリも真夏の暑い季節に色鮮やかな花を咲かせることから、人気のある樹木の一つです。白、桃、紅、紫など様々な花色があり、その美しい花々は目を楽しませてくれます。

サルスベリは特に花期が長く、夏から秋にかけての長い間、ずっと花を楽しむことができます。この特徴により、樹木葬においても墓地を明るく彩り、故人への思い出を暖かく想起させることができます。

真夏の暑い時期に咲くサルスベリの花は、故人の永遠の命や想い出を表現する象徴となるでしょう。花の色と美しさは樹木葬の場所を一層鮮やかに飾り、故人への感謝と哀悼の気持ちをより深く表現することができるのです。

また、サルスベリは夏の暑さにも強く、手入れが比較的容易です。そのため、墓地や樹木葬のスペースに適した樹木として選ばれることがあります。長い花期と美しい花々が、故人を偲ぶ場所を明るくしてくれるでしょう。

アジサイ(紫陽花)

山口県 樹木葬あじさい霊園
山口県 樹木葬あじさい霊園

アジサイも、桜と同様に日本人にはよく知られ、人気のある低木の樹木です。

アジサイの最大の魅力は、満開に咲き誇る花がとても豪華であでやかなことです。その美しい花々は、樹木葬の場所を彩り、故人への感謝と哀悼の気持ちを表現するのにぴったりです。特に、樹木葬では多くの場所でアジサイの植栽が見られます。

アジサイは色鮮やかで多様な花色を持ち、青や紫、ピンク、白などの美しい花があります。そのため、アジサイの花を選んで植栽することで、故人への思い出を色とりどりの花で表現し、墓地を華やかに飾ることができるのです。

また、アジサイは夏から初秋にかけての季節に咲くことから、樹木葬の場所を長期間にわたって彩ります。その美しい花々は故人の永遠の眠りを温かく祝福し、遺族や訪れる方々に心に安らぎと感動をもたらすことでしょう。

アジサイの美しさと人気は、樹木葬においてもその魅力を発揮しています。色とりどりの花で故人を偲び、アジサイの美しい姿に包まれた墓地は、日本人の心に深く残る場所となるのです。

樹木葬を選んでいる人は?

改葬(お墓の引越し)や墓じまいを希望している人

近年、先祖代々のお墓を墓じまいして改装する際に、低価格で改装が可能な樹木葬を選ぶ方が増えています。

樹木葬は、従来のお墓と比べて低価格で埋葬が行えるため、費用面での負担を軽減することができます。特に、先祖代々のお墓の維持や改装には高額な費用がかかる場合があるため、多くの方が樹木葬を選び、手軽にお墓の改装を行っています。

さらに、後継ぎがいない、親族が少ないといった状況のため、永続的な供養が困難なケースでは、樹木葬が承継の必要がない埋葬方法として選択されることが増えています。これにより、遺族は後継ぎや親族の手間をかけることなく、故人への最後の供養を済ませることができるのです。

樹木葬の利点は、手軽で低価格であることだけでなく、承継の必要がなく永続的な供養をしなくても良いという点にもあります。これらの理由から、樹木葬は墓じまいを検討する多くの方に選ばれ、お墓の改装や永代供養の問題を解決する助けとなっているのです。

自然回帰で眠りたいと思っている人

自然を愛し、死後は自然に帰ることを望む自然回帰を志向する方々が、樹木葬を選ぶケースが増えています。

自然回帰とは、自然の中で生かされ、最後は自然に還るという考え方です。この思想を共有する多くの人々が、樹木葬を選択することで、死後の遺骨を自然の一部として戻す願いを実現しようとしています。

樹木葬は自然に溶け込みながら、樹木や花々と共に長い時を経て土に還る埋葬方法です。このような環境で眠ることで、故人の最後の旅路が穏やかであると感じる方々にとって、樹木葬は理想的な選択となっているのです。

また、自然回帰を志向する方々の中には、自然の中で永遠に眠ることを希望するため、後継者による供養の問題がない樹木葬を選択するケースもあります。このような思想や願望に共感する人々が増える中で、樹木葬の人気は着実に広がっているのです。

樹木葬は、自然回帰を志向する方々にとって心に響く埋葬方法として注目されています。故人の遺骨が自然と共に調和し、永遠に眠る姿は、遺族や訪れる人々に心に安らぎと感動をもたらすでしょう。

お墓の承継者の問題を解決したい人

樹木葬は墓石を建てる必要がなく、霊園で一括して管理や清掃を行うため、従来の墓掃除などをする必要がありません。これにより、樹木葬の場所は常に美しく保たれ、遺族や訪れる方々が心静かに故人を偲ぶことができます。

さらに、樹木葬では後継者問題や引き継ぎの心配がなく、永代供養の問題も解消されます。従来の墓地では、墓地の管理や清掃、永代供養の手続きは家族や後継者によって行われる必要がありましたが、樹木葬ではそれらを霊園や墓地管理者が代わりに行ってくれます。

これにより、遺族は管理や手続きに頭を悩ませることなく、故人を心に留めながら過ごすことができます。また、後継者がいない場合や遠方に住んでいる場合でも、樹木葬は安心して遺骨を納めることができる墓地の選択肢となります。

樹木葬のメリットは、美しい墓地の維持や永代供養の問題を解消し、遺族が故人を思いやる心に寄り添いながら、永遠の眠りを守ることができる点にあります。樹木葬は、これらの利点から多くの人々に選ばれ、故人への尊い想いを形にする素晴らしい選択肢として注目されているのです。

お墓になるべく予算をかけたくない人

近年、樹木葬は墓石をたてる必要がなく、従来のお墓を購入するよりもはるかに費用が安価であるため、お墓になるべく費用をかけたくない方々に求められるケースが増えています。

従来のお墓の建立や維持には高額な費用がかかることがあり、特に永代供養を含めると長期的な経済的負担となる場合があります。一方、樹木葬は墓石を必要としないため、これらの費用を削減できます。

そのため、予算を抑えたいと考える多くの方々が樹木葬を選択することで、経済的な負担を軽減し、故人への供養を心穏やかに行いたいと願っています。

また、樹木葬は自然との共生を重視する方々にも好まれています。自然に還る埋葬方法として、故人の最後の旅路を美しい自然の中で過ごすことができる点が魅力的です。

樹木葬のメリットは、経済的な利点だけでなく、自然との調和を求める心にも響いているのです。このような背景から、墓地の選択肢として樹木葬が増加しており、遺族や訪れる人々にとって魅力的な埋葬方法として存在感を増しています。

樹木葬を実施する費用相場

樹木葬の費用相場は、立地場所や埋葬方法によって幅が出るものの、一般墓に比べると墓石が不要(墓標に石材を用いる場合も小型ですむ)で、費用を安くおさえることができます。

「鎌倉新書」による2020年のお墓に関する実態調査の結果では、樹木葬と一般墓の地域別平均購入価格の対比が出ています。その結果をご紹介します。

全国西日本東日本東京都
樹木葬の平均購入価格68.7万円62.2万円70.6万円79.8万円
一般墓の平均購入価格176.1万円166.8万円178.8万円210.3万円

出典:【お墓】地方・都道府県別 お墓の消費者全国実態調査(2020 年)

この詳細によると、樹木葬の平均購入価格は 71.7 万円で、24.1%が 60~79 万円で購入したという結果がでています。

これに対して、一般墓の平均購入価格は169.0 万円で、25%が 80~119 万円で購入したという結果がでており、樹木葬のほうが遥かに低価格であることが分かります。

また、樹木葬の平均購入価格は一般墓に比べて比較的低く、特に都市部では顕著な差が見られます。都市部では土地代や施設費が高騰する傾向があるため、樹木葬を選択することで墓地にかかる費用を大幅に削減できるのです。

一方で、地方部では一般墓と樹木葬の価格差が縮まる傾向にあります。地域によっては土地の価格や樹木葬施設の提供状況によって、費用相場に違いが出るためです。

これらの実態調査結果からもわかるように、樹木葬は費用を抑えたいと考える方々にとって魅力的な選択肢となっています。墓地の選択時には立地や地域による費用の差異を考慮しつつ、自然回帰や経済的なメリットを重視して樹木葬を検討することが大切です。

樹木葬を実施する方法

実際に樹木葬を実施する際の流れについてご説明します。

樹木葬を希望する場合、まず最初に墓地や霊園を選定します。樹木葬を行っている霊園や施設は増えており、自然環境に恵まれた場所を選ぶことが一般的です。墓地選びは慎重に行い、故人の最後の安息が保たれるように心掛けましょう。

次に、樹木葬の形態やプランを選択します。庭園タイプや公園タイプ、里山タイプなど、それぞれの特徴や魅力がありますので、故人の意向や家族の希望に合った形式を選ぶことが大切です。

樹木葬の実施にあたっては、家族との相談が欠かせません。故人が樹木葬を強く希望していても、家族が反対している場合もあります。トラブルを避けるためにも、家族としっかりと話し合い、樹木葬に対する了解を得ることが重要です。故人の意思を尊重しつつ、家族の意見も考慮して適切な決定を下しましょう。

また、樹木葬の実施には遺言書の作成や関係書類の手続きが必要となる場合があります。これらの手続きは早めに進めることで、円滑に樹木葬を実現することができます。

樹木葬は故人の意思を反映し、自然と共に過ごす尊い埋葬方法ですが、家族とのコミュニケーションを大切にし、トラブルを避けるためにも慎重に準備を進めることが重要です。故人の想いを大切にしつつ、家族との協力で穏やかな最後の旅路を送ることができることを願っています。

樹木葬を選んで契約するまでの流れ

樹木葬を申し込むまでの流れは一般墓とほぼ同じですが、墓石を必要としない分が簡略化されます。

1)樹木葬に関する霊園の情報を集める

まずはインターネットやパンフレットを利用して、気に入った樹木葬がある霊園の情報を集めます。霊園の特徴や提供するサービスを比較し、自分や故人の希望に合った場所を選ぶことが大切です。

2)現地見学へ

気になる霊園が見つかったら、実際に現地を見学しましょう。パンフレットやウェブサイトの画像だけでは伝わらない雰囲気や環境を確認するために重要なステップです。交通の便や周辺の利便性をチェックし、また質問があれば丁寧に聞いてみましょう。

写真や資料だけでは分からない点は現地で確認し、自分の目で見て納得することが後悔しないお墓選びのコツです。

3)契約・入金

現地を見学して納得したら、契約手続きと費用の支払いを行います。樹木葬は人気がありますので、条件の良い場所は早めに埋まってしまうこともあります。検討に時間をかけすぎずに、決断することが大切です。

契約の段階で、費用の支払い方法を決めます。

4)使用許可証の交付

霊園側で契約内容を確認した後、使用許可証が発行されます。これにより、樹木葬を実施することが許可されます。

樹木葬を実施する際は、家族とのコミュニケーションを大切にし、条件や希望をよく理解した上で慎重に選ぶことが重要です。故人の意向を尊重しつつ、納得した場所で穏やかな最後の旅路を送ることができることを願っています。

樹木葬に遺骨を埋葬するまでの流れ

樹木葬はお墓の一種であるため、遺骨を埋葬する際には従来の墓石の場合と同様に法的な手続きが必要になります。

1)死亡届を役所に提出する

故人の死亡が確認されたら、家族や関係者は死亡届を役所に提出します。死亡届が受理されると、火葬許可証が発行されます。多くの自治体では「死体埋火葬許可証」として発行されることが一般的であり、この許可証は埋葬と火葬の両方を許可する書類となります。

2)ご遺体の火葬

火葬許可証を手に入れたら、火葬場で火葬手続きを進めます。火葬が完了し、遺骨を骨壺に納める骨あげが行われたら、火葬済みと押印された火葬許可証が返却されます。この火葬済みの許可証がそのまま埋葬許可証として機能し、樹木葬の埋葬に必要な書類となります。

樹木葬には法的な手続きが必要なため、遺族や関係者はこれらの手続きを遵守し、正確に執り行うことが大切です。故人の最期の希望を尊重し、遺骨を慎重に扱いながら樹木葬を実現させることを願っています。

3)樹木葬をおこなう場所で埋葬許可証を提出する

樹木葬の申込から埋葬までの流れについて説明します。

樹木葬の埋葬当日、遺骨を持参します。遺骨は事前に火葬済みであり、火葬済みの許可証を携帯しています。埋葬許可証は納骨の際に墓地や霊園などの管理者に提出します。

ただし、霊園によっては遺骨をパウダー状にする必要がある場合もありますので、事前に霊園のルールを確認しましょう。遺骨の処理方法や形態について確認しておくことが大切です。

埋葬当日には、霊園のスタッフまたは担当の石材店が立会いのもとで樹木葬に遺骨を納骨します。樹木葬では墓石を用いないため、スタッフや担当者が丁寧に納骨を行い、故人の最後の旅路を大切に送ることができます。

以上が、樹木葬の申込から埋葬までの流れです。

樹木葬がおすすめ|まとめ

樹木葬は自然と調和した穏やかなお墓の形態であり、自然を愛する人や遺骨の永続的な供養に悩む方にとって魅力的な選択肢となっています。庭園タイプ、公園タイプ、里山タイプといった様々な種類があり、桜やハナミズキ、サルスベリ、アジサイなどの花木が墓標として使われることもあります。

樹木葬は墓石を必要とせず、管理や清掃は霊園で行われるため手間や費用が削減できます。後継者問題や引き継ぎの心配がないため、永代供養も可能で、家族と共に故人の意向を尊重しながら穏やかな最後の旅路を送ることができます。

ただし、樹木葬を選択する際は家族とのコミュニケーションを大切にし、法的な手続きを遵守することが重要です。自然回帰を志向する方や費用を抑えたい方にとって、樹木葬は価値ある選択となることでしょう。


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