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葬儀や法要のお布施について|布施袋、書き方、渡し方、相場など

お布施

大切な方の葬儀や法要で、お布施について迷ったことはありませんか?喪主や参列者として、布施袋の書き方や渡し方、相場などが気になる方も多いことでしょう。

この記事では、お布施に関する悩みや願望に対して、分かりやすく解説いたします。

お布施は、故人への最後の想いや感謝の気持ちを込める大切な行為です。適切な金額や作法で心を伝えることで、故人のご冥福を祈り、参列者同士の絆を深めることができます。布施袋の書き方や渡し方を知ることで、少しでも気持ちを落ち着けて式に臨むことができるでしょう。

布施袋と書き方

お布施は、葬儀やお通夜などで僧侶に渡すお礼の気持ちを込めたもので、お香典やお仏前とは異なる意味合いを持ちます。形式にこだわる必要はなく、水引のついた不祝儀袋を使わなくても構いません。簡易な袋でもお坊さんに対して失礼になりません。

ただし、仏事の種類や地域・宗派によって、さまざまなタイプのお布施袋が販売されて使用されています。使い方を知っておくことで、迷うことなく選び、お布施を渡すことができます。

お布施袋の種類

お布施袋は、僧侶にお渡しする際に大きく4つのタイプに分けられます。それぞれのタイプによって使われ方が異なるため、用途に合ったお布施袋を選ぶことが大切です。

1)水引なしの無地の封筒に「御布施」と書かれたお布施袋

お布施袋には、水引のついていない無地の封筒に「御布施」と書かれたタイプがあります。これは市販されている封筒で、水引が付いていないため、シンプルなデザインです。ただし、「御布施」と印刷されているので、お布施を渡す際の用途が一目で分かります。

※水引(みずひき)とは、祝儀や不祝儀の際に用いられ、包み紙などにかける紅白や黒白などの帯紐のことです。

このタイプのお布施袋は、宗派を問わずあらゆる仏事で使用できる汎用性があります。そのため、どんなお布施袋がよいか迷った場合は、これを選ぶことで問題ありません。

また、市販のお布施袋ではなく、無地の封筒に自分で「御布施」と墨で書いて使用することもできます。手作りすることで、より心のこもったお布施を贈ることになるできるでしょう。

2)黒白の水引がついた不祝儀袋

黒白の水引がついた不祝儀袋は、通夜や葬儀のお香典用や、その後の仏事で遺族への御仏前を包む際に一般的に使用されます。このタイプのお布施袋は、故人や遺族に対する哀悼の意を示すために黒白の水引が付いており、格式ある印象を与えます。

特に、通夜や葬儀では多くの参列者が訪れるため、黒白の水引がついた不祝儀袋が使用されることが多いです。遺族への御仏前を包む際にも、このお布施袋が使われることが一般的です。

地域によっては、お布施を包む際にも黒白の水引がついた不祝儀袋が用いられることがあります。これは、地域の習慣や風習によるもので、地域によって異なることを覚えておくと良いでしょう。

なお、お布施袋として使う場合は、四十九日までのいわゆる弔事が多く、それ以降の仏事には、水引なしの無地封筒に「御布施」と書かれたお布施袋を使うのが無難です。

四十九日までの弔事では、黒白の水引がついた不祝儀袋が一般的に使用されます。これは、喪主や遺族への哀悼の意を示すために用いられるものであり、格式ある印象を与えることができます。一方、四十九日を過ぎると、通夜や葬儀といった弔事が終わるため、水引なしの無地封筒に「御布施」と書かれたお布施袋を使うことが一般的です。

無地封筒のお布施袋は、どんな仏事でも共通して使えるシンプルなデザインであり、故人や遺族に対する敬意を示すとともに、謙虚な気持ちを伝えることができます。特定の宗派や地域に拘束されず、幅広い場面で使用できるため、使い勝手が良いと言えるでしょう。

3)黃白の水引がついた不祝儀袋

なお、このような黃白(きいろしろ)の水引がついた袋は、一周忌以降の仏事に用いることが一般的です。一周忌を過ぎると、四十九日までは黒白の不祝儀袋が主に使用されることが一般的です。

一周忌と四十九日の違いは、仏教の戒律や慣習によるものです。四十九日までは、故人の魂が冥界を巡り、生前の罪や煩悩を清める過渡期とされています。そのため、黒白の色合いは冥界との境界を表し、供養の時期にふさわしいとされています。

一方で、一周忌は故人の命日から約1年後の法要であり、四十九日を経て、故人の魂が成仏するとされます。この時期には、故人の成仏を祈念し、供養する意味合いが強まります。黃白の水引がついた袋は、明るく清楚な印象を持ち、成仏を祝福する気持ちを表現するために用いられることが多いのです。

地域や宗派によっても異なる慣習がありますので、具体的な仏事や葬儀の際には、担当の僧侶や葬儀会社に相談して適切な袋の選択をすることが大切です。故人や遺族への感謝と敬意を込めて、心を込めたお布施袋を選ぶことが、大切な法事にふさわしい供養となるでしょう。

4)双銀の水引がついた不祝儀袋

双銀(銀色×銀色)の水引がついた不祝儀袋は、通夜や告別式でのお香典や、その後の仏事で遺族に渡す御仏前を包む際に一般的に使用されます。地域によっては、お坊さんに渡すお布施や戒名料を包むお布施袋としても用いられることがあります。

ただし、双銀の水引がついた不祝儀袋と黒白の水引がついた不祝儀袋との違いは、包む金額が比較的多い場合(5万円~数十万円)に双銀の水引が使われることが多いです。寺院の格式が高く、お布施金額も相当な料を要求される場合などに、双銀の水引がついたお布施袋が選ばれることが一般的です。

一方、金額が高額でない場合(5万円以下)は、通常の黒白の水引がついた不祝儀袋を使用することが一般的です。また、一周忌以降の仏事では黃白の水引がついた袋が選ばれることも多いです。

金額の表書き

次に、お布施袋の書き方について解説します。

お布施袋の表書きには、「お布施」「御礼」などが一般的です。下半分には施主の名前を書いてください。これは「○○家」のように家名を書いても、本人の氏名を書いてもどちらでも構いません。

神式やキリスト教では、「お布施」とはいわず、「御礼」としておくのが無難です。牧師や神父ではなく、教会にお布施を宛てる場合は「献金」・「ミサ御礼」などとなります。

また、香典は薄墨で書くのがマナーとされていますが、お布施は宗教に関係なく、黒い墨で表書きを記入します。薄墨で書くのは不幸を悼む気持ちを表すためですが、お布施はそれに当てはまらないこともわかるでしょう。

お布施の金額の書き方

次に、お布施袋の書き方について解説します。

お布施袋の表書きには、「お布施」「御礼」などが一般的です。下半分には施主の名前を書いてください。これは「○○家」のように家名を書いても、本人の氏名を書いてもどちらでも構いません。

神式やキリスト教では、「お布施」とはいわず、「御礼」としておくのが無難です。牧師や神父ではなく、教会にお布施を宛てる場合は「献金」・「ミサ御礼」などとなります。

また、香典は薄墨で書くのがマナーとされていますが、お布施は宗教に関係なく、黒い墨で表書きを記入します。薄墨で書くのは不幸を悼む気持ちを表すためですが、お布施はそれに当てはまらないこともわかるでしょう。

お布施に使うお札

お布施に入れるお札は、向きを揃えて肖像が封筒の表面になるように入れるのが一般的な作法です。

お香典の場合は、お札には旧札を使用するのがマナーとされていますが、お布施の場合は新札で包むのが適切です。

※お香典の場合、新札が避けられる理由は、故人の死を予想して予め新札を用意していたような印象を与えることを避けるためです。一方、お布施の場合は、僧侶に不幸があったわけではないので新札でも問題ありません。

葬儀費用の相場

鎌倉新書で行った2022年の「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかった費用の総額は約110.7万円という結果でした。ただし、この金額は僧侶に支払うお布施料を除くものであります。

その内訳を見ると、基本料金(葬儀費用単体)約67.8万円、飲食費約20.1万円、返礼品約22.8万円という結果でした。

2021年に行った第4回の調査では、葬儀費用は約119万円でしたから、コロナの影響により参列者が減ったため、小規模な斎場となり、かつ小さな祭壇を用いたことで費用が下がったものとみられます。

2022年基本料金飲食費返礼品総額
全体67.8万円20.1万円22.8万円110.7万円
倉新書2022年「お葬式に関する全国調査」第5回

<各料金の内訳>

基本料金:斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式(固定費)
飲食:通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(変動費*)
返礼品:香典に対するお礼の品物(変動費*)
総額:基本料金・飲食・返礼品の合計金額

第5回お葬式に関する全国調査(2022年/鎌倉新書)より

法事・法要のお布施の相場

各種法要や葬儀で支払うお布施の相場についてご紹介します。

一般的な法要や葬儀でのお布施相場は、3万円から5万円程度です。また、お車代としてのお布施は、5,000円から1万円程度が一般的です。

特に「繰り上げ初七日法要」では、通常のお布施に初七日法要分として3万円から5万円を加えた額を包むのが一般的です。この「繰り上げ初七日法要」は、本来は故人の臨終から7日後に行う初七日法要を、葬儀の日に繰り上げて一緒に行うもので、現代ではよく行われています。

三周忌法要以降については、お布施相場は1万円から5万円程度が一般的です。ただし、地域や宗派によって異なることもあるため、具体的な金額は寺院や葬儀会社に問い合わせるとよいでしょう。

納骨のお布施の相場

納骨式においては、遺骨をお墓に納骨する儀式を行います。この納骨式では、読経を僧侶に依頼することが一般的です。

納骨式のお布施の相場は、一般的には3万円から5万円程度です。ただし、お寺との関係が深い檀家の場合や特別なケースでは、それ以上の金額を渡すこともあります。

また、新しくお墓を建てる際の開眼法要や回忌法要を一緒に行う場合には、別途お布施が必要です。この際に渡すお布施の相場は、約2万円から3万円ほどとなっています。

宗教によっても相場が異なります。神式の場合は仏式と同じく、納骨式のお布施相場は1万円から5万円ほどとなります。キリスト教の場合は、一般的に1万円から5万円程度が相場とされています。

また、納骨式には僧侶を呼ぶため、御車代と御食事代を包む必要があります。
・御車代は僧侶が足を運んでくれたことに対する費用で、相場は1万円です。
・御食事代は納骨式のあとの食事会に僧侶が参加を辞退した場合にのみ渡されることが一般的で、相場は1万円とされています。

お布施をお渡しするタイミングとマナー

お布施

お布施をお渡しするタイミング

お布施をお渡しするタイミングには特定の決まりはありませんが、一般的には僧侶の手が空いた時を見計らって行います。おすすめのタイミングは、最初の挨拶の時や葬儀が終了した後の食事会など、お礼を述べる機会にお渡しすることです。ただし、僧侶が忙しかったり、食事に参加しない場合も考慮し、最初にお会いした際に挨拶をしながらお渡しするのが無理のない方法と言えます。

葬儀の場合、僧侶が葬儀場へ到着すると、喪主が挨拶に向かう際にお渡しするのが一般的です。お渡しの際には、「本日は、お勤めをよろしくお願いします」と感謝の気持ちを添えるようにしましょう。

法要や法事で寺院に伺った場合は、合同法要の場合は受付が設置されていればそこにお布施を渡し、設置されていない場合は法要前に僧侶に挨拶を兼ねてお渡しするのが良いでしょう。

個人の法事で僧侶が家に訪問する場合は、到着して挨拶をするタイミングでお布施をお渡ししますが、初めの挨拶の際にお渡しできなかった場合や法事が終わったとき、またはお帰りの際にも挨拶を交わすタイミングでお渡ししても良いでしょう。

お布施をするマナー

お布施を渡す際には、マナーが重要です。

まず、お布施は読経の対価として支払うものではなく、僧侶に直接金額を尋ねることは避けましょう。多くの僧侶は「お気持ちで結構でございます」と答えることが多いですが、これは「お気持ち」を大切にし、感謝の気持ちを込めて渡すための言葉です。そのため、相手の言葉に従い、感謝の気持ちを忘れずにお布施を渡すことが大切です。

特に、遠方から来て頂いた場合は、そのお礼を添えて感謝の気持ちを表すようにします。遠方からの来訪は、僧侶にとっても負担が大きいことが考慮されますので、お布施に感謝の気持ちを加えることで、相手に気持ちよく受け取ってもらえるでしょう。また、遠方から来て頂いた際には、お車代を別途渡すことも一般的です。お布施とは別に、お車代を用意して感謝の意を示すことが重要です。

お礼の言葉の例として

本日は母の葬儀に足を運んでいただき、ありがとうございます。
わずかではありますが、お礼をさせていただきますので、お受け取りください。

お布施をお渡しする際の作法として、切手盆に載せて渡します

お布施 切手盆

お布施を渡す際には、直接手渡しするのはマナー違反とされます。

お布施を差し出す方法として、お布施を切手盆に載せて、僧侶から見て正しい向きになるように差し出すのが適切です。切手盆は、お布施を乗せるための専用の盆であり、この方法を用いることで礼儀正しくお布施を差し出すことができます。自宅でお布施を渡す場合は、普段使っている小型のお盆を使用して問題ありません。

また、お布施以外に渡すものがある場合は、同時に渡すようにしましょう。例えば、お車代や御食事代などは、お布施と一緒に別の袋に入れて渡すことが一般的です。これらのお金の受け渡しは、丁寧に行い、感謝の気持ちを込めて渡すことが大切です。

お布施を渡す際には、適切な方法を守り、相手への敬意を示すことが大切です。マナーを守ってお布施を渡すことで、円満な関係を築くことができるでしょう。

お布施以外に渡すもの

お布施以外に渡すものとして、遠方から来ていただいた僧侶に渡す「お車代」と、僧侶に食事代として受け取ってもらう「御膳料」があります。

「お車代」の相場は一般的に1万円ですが、実際にかかる交通費や宿泊費に1万円を足した額を渡すことが一般的です。遠方から駆けつけていただいた僧侶への感謝の気持ちを込めて、お布施と一緒に渡すのが一般的です。

「御膳料」は、僧侶が葬儀後の食事会に参加しない場合に食事代として渡すお金です。相場は1万円ですが、僧侶が食事会へ参加する場合は渡しません。葬儀後の食事会に参加しないことが予想される場合には、お布施と別に渡すことで、食事代としての意図を示します。

なお、神道やキリスト教の場合は、「御食事料」と記すことが一般的です。各宗派や場所によって、お布施やその他の渡し物に関する風習や相場が異なる場合もありますので、十分に配慮し、丁寧な対応を心掛けるようにします。

袱紗に載せて渡す

袱紗に載せて渡す

お布施を渡す際にお盆が用意されていない場合は、袱紗(ふくさ)に包んで渡すことが一般的です。

袱紗にお布施を包んだ状態で、僧侶に差し出し、その後袱紗からお布施を取り出して、正しい向き(文字の向き)になるように回して、袱紗ごと持ち上げて渡すのがマナーです。袱紗を持ち上げる際に、包み込んだまま渡すことで、お布施を敬意をもって渡すことができます。

また、お布施以外に渡すもの(例えば、お車代や御膳料)がある場合は、このタイミングで同時に渡すことがおすすめです。袱紗に包んで渡すことで、まとめて受け取っていただくことができ、スムーズな対応となります。

葬儀や法要のお布施について|まとめ

大切な葬儀や法要において、お布施は故人への深い感謝や最後の思いを込める大切な儀礼です。この記事では、布施袋の書き方や渡し方、相場について分かりやすく解説しました。

布施袋は黒封筒に名前と「御布施」と記入するのが一般的で、無地の封筒でも構いません。渡す金額は葬儀や法要の関係性によって異なりますが、一般的には1,000円から5,000円程度が通夜式や告別式の相場で、四十九日や一周忌では3,000円から10,000円程度が一般的です。

渡し方は心を込めて手渡すことが一般的で、喪主に渡す場合は少し多めに包むことが一般的です。

大切な方への最後のお見送りにおいて、適切なお布施を心を込めてお渡しすることで、故人のご冥福を祈り、参列者同士の絆を深めることができます。遺族や参列者として、気持ちを大切にして式に臨んでください。


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