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戒名とは?|戒名は必要なの?費用や位の種類についても解説します

法名

戒名は、故人が亡くなった後に仏門に入ったことを示す名前です。多くの場合、僧侶に依頼して授けられますが、「費用や位について詳しく知りたい」と考える方もいるでしょう。

この記事では、戒名を授かるための金額や位の種類について解説します。一般的な目安として、戒名には「院号」「道号」「戒名」「位号」という4つの要素があります。高位の院号は仏教への信仰が厚く社会的に貢献した方に与えられ、低位の戒名は一文字ずつ選ばれることが多いです。

戒名の金額は葬儀や法要の形態、位の高さなどによって異なりますが、一般的には約30万円から65万円が目安とされています。

仏教に詳しくない方でも、この記事を読むことで戒名に関する基本的な知識を理解できるようになるでしょう。戒名の意義や授与の流れについて理解し、大切な方の供養に役立てられることを願っています。

戒名とはなに?

戒名には、位牌につけるための名称と考える方もいるかもしれませんが、その宗教的な意義と見方について正しく理解しておきましょう。ここでは、覚えておきたい基本知識を4つの項目に分けて説明していきます。

  1. 戒名の本来の意味:戒名は故人が亡くなった後、仏門に入ったことを示す名前です。この名前は故人の功徳を称えるとともに、その供養のために呼ばれ、位牌やお墓の卒塔婆にも刻まれます。
  2. 戒名の構成:戒名は通常、4つの要素からなります。「院号」「道号」「戒名」「位号」という要素があり、それぞれ故人の行いや名前からつけられます。高位の院号は信仰が厚く社会的な貢献をした方に与えられ、戒名は生前の職業や関わった事柄から漢字一文字を取って与えられることが多いです。
  3. 戒名の金額と位:戒名の位によってお布施の金額も変わります。一般的に、高位の院号は約30万円から65万円程度、低位の戒名は1万円から5万円程度のお布施が目安とされています。
  4. 戒名の意義:戒名は形だけのものではなく、故人の供養と敬意を表すものです。仏教の教えに基づいた名前であり、読経のたびに呼ばれ、永遠の安らぎを願っています。

戒名は重要な意味を持つものであり、その宗教的な側面を正しく理解して大切な方の供養に臨むことが大切です。

戒名の本来の意味

日本の多くの地域では、故人に対して戒名をつける風習があります。戒名は本来、仏弟子となった印に付与される名前であり、戒律を守り、修行に専念することを誓う証とされています。

現世の氏名では仏様のいる世界へ行けないとされているため、現代でも亡くなった方に戒名を付与することが多くあるでしょう。戒名の授与は故人の功徳を称えると同時に、その供養のためにも行われます。宗派によって考えや呼び方が異なり、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」と呼ばれることもあります。

戒名は故人の遺族や近しい人々によって選ばれることが一般的であり、その名前は故人の生涯や信仰に根ざしたものとなります。また、戒名は読経の際に呼ばれ、位牌やお墓の卒塔婆にも刻まれ、永遠の安らぎを願う重要な供養の一つとなっています。戒名の付与は故人への敬意と尊厳を表すとともに、その人生を偲ぶ大切な儀式として大きな意味を持っています。

戒名は、本来、生前に与えられるもの

一般的に戒名は死後につけられる名称と考えられていますが、元来は生きているうちに授けられるものでした。出家して仏弟子になる際、戒律を守って精進する心を示す証です。この戒名は、修行者が教えを守り、仏道に専念する決意を示す重要な名前とされていました。しかし、現在では多くのケースで亡くなった後につけられています。

戒名を授ける儀式は寺院で行われ、仏教の教えや信仰に基づいた名前が選ばれます。戒名は故人の功徳を称えると同時に、その供養のためにも行われます。ほとんどの寺院では、希望すれば生前に授けてもらうことも可能です。生前に戒名を得ることで、人生の最後の時までその名前で修行や供養を行うことができます。

戒名は宗派や寺院によって異なることがありますが、どの場合でも故人やその家族にとって特別な意味を持つものとなります。また、戒名は読経の際に呼ばれるほか、位牌やお墓にも刻まれ、永遠の安らぎを願う大切な供養の一部となります。戒名は故人への敬意を示すとともに、その人生や信仰を偲ぶ尊い名前として大切にされています。

戒名の用途

戒名と聞いて多くの方がイメージするのは位牌でしょう。戒名は位牌に刻まれるだけでなく、法要でお経を唱えてもらう際に読まれることもあります。

ここで気になるのが、名の付与されるタイミングです。厳密なルールはありませんが、生きているうちに授かっていなかった場合、一般的にはお通夜の前に僧侶との相談で細かく決めていきます。電話で相談することも多く、遺族から伝えられた故人の人柄などを考慮して決定していくようです。

戒名の選定は慎重に行われることが重要で、故人の生前の行いや信仰心を反映する名前が選ばれます。そのため、葬儀の前に戒名を決定しておく必要があります。特に白木位牌には戒名が書かれることがほとんどであり、故人の供養のためにも大切な手続きとなります。

戒名は故人の魂を偲び、永遠の安らぎを願う大切なものです。その名前が刻まれた位牌を家族や親族が手元に置き、供養の心を込めて故人を思い起こすことができるでしょう。戒名は故人への敬意と感謝を表すとともに、仏教の教えに基づく大切な名前として大切にされています。

戒名の成り立ち

戒名は漢字だけで成り立っています。そのため、「どうやって読むかも分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。今のうちに正しい見方を把握しておきましょう。

基本的に、元来の意味での戒名は誰であっても2文字となります。仏教の世界では、全てが平等であるという考えがあるからです。ただし現代では、院号、道号、位号の3つも含めて「戒名」と呼ばれています。すべて合わせると6文字~9文字程度です。

「院号」は身分が高い人への敬称、「道号」は悟りを得た者の称号とされています。「位号」は、性別や年齢などによって変わるのが特徴です。

例えば、徳川家康の戒名「東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士」を見てみましょう。院号に当たるのは「安国院殿」、位号に当たるのが「大居士」です。家康の戒名は特別で、日本一長いともいわれています。

戒名は故人の尊厳と精進の心を込めてつけられるものであり、仏教の教えに基づく意味深い名前です。正しい見方を知ることで、故人の戒名に対する理解を深めることができるでしょう。

は「安国院殿」、位号に当たるのが「大居士」です。家康の戒名は特別で、日本一長いともいわれています。

戒名の費用と位の種類

戒名を授かる際には、お布施が必要であることを覚えておきましょう。金額は様々であり、高額な場合には100万円以上を納めることもあります。金額によって授かれる位が異なるため、注意が必要です。

例えば、金額によるランク付けの一例としては、次のようなものがあります。

・数十万円程度:一般的な位
・100万円以上:高位の位

子どもや無宗教のケースにおいても戒名を授かることが可能です。一般的には親族の希望や相談に基づいて、適切な戒名を選ぶことが行われます。

戒名は故人の名前を示すだけでなく、その人の生涯や信仰に対する意味を込めたものとして捉えられています。授かる戒名の金額や位の違いを理解し、故人への感謝と尊厳を示すためにも適切な選択を行いましょう。

お布施50万円以下の戒名

戒名を授かる際には、50万円以下のケースでは一般的に院号や道号は授けられず、狭義の戒名と位号のみが与えられることがあります。位号の中にもランクがあり、通常では男性には「信士」、女性には「信女」という比較的ランクの低い位号が選ばれることが一般的です。

しかし、近年は仏教や菩提寺との関わりが希薄になっている場合も多く見られます。そのため、特に「信士・信女」が最も一般的な位号となっています。この位号はランクが低いという意味ではなく、むしろ信仰心を持ち、仏教に帰依する姿勢を示すものとして大切にされています。したがって、金額や位号のランクに過度にこだわる必要はありません。

戒名は故人に対する感謝の気持ちや信仰心が込められた特別な名前であり、金額よりも大切なのは故人の冥福を祈る心です。戒名を授かる際には心のこもった選択をし、故人への尊厳と感謝を示すことが重要です。

お布施50万円~80万円の戒名

戒名を授かる際には、50万円から80万円程度のお布施を渡すと、より高い位を授かることができることがあります。現在では一般的に、50万円以下の金額だと男性は「信士」、女性は「信女」という位号が授けられることが通常ですが、この金額帯では次に位が高いとされるのが「居士」と「大姉」です。

もっと高額な金額をお渡しすれば、さらに上の位の戒名が与えられるケースもありますが、このくらいの金額では院号や道号までが授かることは珍しいでしょう。宗派によっても戒名の相場は異なるため、事前に寺院や僧侶に相談して確認することが大切です。

故人に対して少しでも高い位を授かせたいという願いがある場合は、「居士」や「大姉」といった位号を授かることを検討してみると良いでしょう。戒名は故人への思いやりと尊厳を表す大切なものであり、金額以上に心のこもった選択が大切です。

お布施100万円以上の戒名

100万円以上のお布施を納めると、一般的には「院号」を授かることが多いでしょう。かつては、院号は天皇が退位した後に移り住んだ家と、そこに住まう上皇を指す名称でした。

戒名においても、元々は生前にお寺を建立するなど寺院に大きな貢献をした人や、高い地位や身分を持つ人にだけ授けられていた格式の高いものでした。しかし、現代ではお布施の額によって一般の方でも院号が授かれるケースが増えています。100万円以上のお布施を納めると、「院信士」や「院大姉」といったよりランクの高い位号が授けられることがあります。

戒名の授与は、故人の信仰心や寺院への貢献だけでなく、遺族の願いや想いも考慮される重要な儀式です。100万円以上のお布施を検討する場合は、相談する寺院や僧侶とよく話し合い、故人の冥福を祈ると共に、家族の思いを込めた戒名を選ぶことが大切です。

最高位の戒名

院号よりもさらにランクの高い「院殿号」が戒名として授かれることもあります。「院」や「殿」は、高貴な方々の尊称を表す名称であり、かつては天皇や貴族、位の高い武士などにしか与えられていませんでした。実際、徳川家康も「院殿」の称号を授かっていることが知られています。

「院殿号」は現代でも非常に格式の高い称号であり、授かるにはかなりの功績を残した方でなければなりません。そのため、一般的な場合にはなかなか授かれないとされています。お布施の額は正確にはわかっていませんが、500万円から1,000万円程度ともいわれています。

戒名の授与は、故人の遺志や信仰心、寄進額だけでなく、寺院の慣習や僧侶の判断によっても異なります。お布施の額に応じた適切な戒名が授かるよう、寺院や僧侶との十分な相談を重ねることが大切です。戒名は故人の永遠の名前であり、家族や遺族にとっても大切な意味を持つものです。

子どもの戒名

子どもに戒名を授ける際は、通常の成人の場合とは異なるルールが存在します。先に紹介した「信士」や「居士」といった位号は子どもには基本的に授かりません。

1歳までの子どもは「嬰子(えいし)」または「嬰女(えいじょ)」となります。2歳から4歳までは「孩子(がいし)」または「孩女(がいにょ)」の位号が与えられます。15歳くらいまでの子どもには「童子(どうじ)」または「童女(どうにょ)」の戒名が授けられます。なお、「童子」や「童女」は状況によっては18歳くらいまで使われることもあります。

宗派によっても細かな設定は異なるため、事前に確認しておくことが重要です。子どもに与える戒名は、その子の成長と発展を願って授けられるものであり、家族にとって大切な意味を持ちます。戒名を授かる際には、その子の未来と故人への思いを込めて、丁寧な選択をすることが望まれます。

戒名をつけないこともある場合

日本には無宗教の方も多くいるため、戒名をつけるかどうか迷う方もいるでしょう。無宗教の方は必ずしも僧侶に戒名を授与してもらう必要はありません。戒名は仏弟子になった証の名であるためです。

ただし、戒名がないと寺院の墓地に入れてもらえない可能性があるため、注意が必要です。もし菩提寺が決まっていたり、亡くなった後に入るお墓が決まっている場合は、生前に戒名を授かることも考慮しておいた方が良いでしょう。

無宗教の場合、死後にどのような手続きをすればよいのか分からないときは、地域のお寺の住職や葬儀社に相談してみることをおすすめします。専門家に相談することで、適切な対応方法や戒名の授与の有無についてのアドバイスを受けることができます。大切なのは、故人の意思や遺族の希望に沿った形で丁寧に葬送し、故人を偲ぶ心を大切にすることです。

戒名とは?|まとめ

戒名とは、仏教において故人に対して授けられる名前であり、死後に用いられることが一般的です。これは、仏弟子となる際に戒律を守り、修行に専念する心を示す証とされています。一般的には漢字で成り立ち、院号・道号・戒名・位号の4つの要素からなります。

戒名を授かる際には、金額によって授与される位が変わることもあります。50万円以下の場合、一般的には「信士」や「信女」が授かれることが多いです。80万円から100万円程度であれば、より高い位の「居士」や「大姉」を授かることも可能です。

また、100万円以上のお布施を納めると「院号」を授かることが多いでしょう。さらに上の位である「院殿号」も授与されることがありますが、500万円~1,000万円程度の額が必要とされる場合もあります。

無宗教の方も戒名を授かる必要はありませんが、お墓が決まっている場合は生前に授かることも検討しておくとよいでしょう。戒名は故人への感謝と尊厳を示す大切な要素であり、遺族の希望や故人の意思に基づいた形で慎重に選ぶことが大切です。


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