新盆は信仰している宗派によって異なる供養の方法を持つ重要な行事です。この記事では、新盆の意味や準備について解説しています。新盆は初盆と同様の意味を持ち、故人の供養を行う行事ですが、宗派によって違いがあります。準備の基本を知っておくことで、ゆとりを持って新盆の法要に臨むことができます。
急な準備に追われることもあるかもしれませんが、この記事では新盆の準備時期や必要な物、手配すべきことに触れつつ、宗派ごとの違いにも焦点を当てて解説しています。信仰している宗派に応じた新盆の準備方法を理解し、大切な供養の行事を心穏やかに迎えるための参考として活用してください。
新盆の準備はいつから行えばよいですか?
新盆の準備を始める時期については、迷った時はまず手配すべき事項を把握することからスタートしましょう。新盆の準備は信仰している宗派によって異なる場合がありますが、一般的には故人の命日から数えて49日目が新盆の日となります。しかし、宗派や地域によっては異なることもあるので、事前に調べておくことが大切です。
また、招待客が多い場合は手配・確認事項も増えるため、返答に要する期間も考慮して余裕を持って早めに始めることが重要です。例えば、セレモニーホールやレストランなどの会場の予約や参加者への案内状の送付などは時間を要しますので、適切なタイミングで準備を進めることが必要です。新盆の準備には時間と手間がかかることがありますが、ゆとりを持って計画的に進めていくことで、大切な供養の行事を心穏やかに迎えることができるでしょう。
忌明け後に訪れる最初のお盆
新盆は、四十九日法要の後に最初に迎えるお盆を指します。この時期には、故人への思いを込めて法要を執り行い、終了後には故人とゆかりのある知人や友人と会食を通じて思いを馳せることが一般的です。
お盆の時期に行われる法要には、亡くなった方が一時的に帰ってくるという意味があります。そのため、新盆の法要では故人の御霊を迎え、供養を行う重要な意味を持っています。特に新盆は忌明け後最初のお盆であるため、盛大に執り行われることが一般的です。
新盆の法要は、家族や親族、友人たちと共に故人を偲び、思い出を語り合う大切な行事です。この時期には、故人に感謝の気持ちを込めて、法要と会食を通じて心温まるひとときを過ごすことができるでしょう。家族や周囲の方々との絆を大切にし、故人の思い出を共有することで心の支えになることでしょう。
新盆を実施する日程
新盆の法要は、かつては旧暦の7月13日~16日頃に行われることが一般的でした。しかし、現在では新暦の8月13日~15日に該当する日程が一般的となっています(一部の地域や宗派では旧暦で行うこともあります)。
通常、新盆の日程は招待客や読経を依頼する僧侶のスケジュールなどを考慮して決定されます。盛大に執り行う場合、招待客の参加しやすい日程に調整しておくことが重要です。そのため、新盆の準備は法要を行う2か月前から、周囲に法要の実施を周知することから始めると良いでしょう。
新盆は故人が帰ってくるとされるお盆の時期であり、そのため法要は故人の御霊を迎え、供養する意味を持っています。家族や親族、友人たちと共に故人を偲び、心温まるひとときを過ごすことで、絆が深まります。大切な行事として、新盆の準備と日程調整を進めて、故人への感謝の気持ちを込めて法要を執り行いましょう。
新盆の準備、手順は?
新盆の準備に必要なことをひとつずつ見ていきましょう。新盆はもちろん、他の法要でも必要なことがありますので、覚えておくと安心です。
- 日程調整:新盆の日程を決定する際には、招待客や僧侶のスケジュールを考慮し、参加しやすい日を選びましょう。旧暦や新暦での日程選定に注意してください。
- 会場選び:新盆の法要を行う場所を選定します。家で行う場合もあれば、寺院やセレモニーホールを利用することもあります。
- 招待状の準備:参加してほしい方々に招待状を送りましょう。はがきや電話、メールなどで連絡することが一般的です。
- 法要の手配:僧侶による読経や供養の手配をします。寺院や葬儀社に相談して手続きを進めましょう。
- 返礼品の用意:参列してくれた方々に感謝の気持ちを込めて返礼品を準備しましょう。カタログギフトや消耗品が選ばれることが多いです。
- お布施の準備:法要にお布施をする際は、用意しておく必要があります。
これらの準備をしっかりと進めて、大切な法要を心温まるひとときとして迎えましょう。他の法要でも役立つ情報ですので、覚えておくと安心です。
僧侶への連絡は「新盆の1か月前」
新盆の法要において、読経を依頼する僧侶には1か月前までに連絡を済ませましょう。お盆の時期は、新盆に限らず法要が多く、僧侶も多忙になります。直前に連絡をしても、既にスケジュールが埋まっていて依頼できない場合があります。慌てないよう、余裕を持って事前に手配しましょう。
通常は自分の先祖のお墓がある菩提寺(ぼだいじ)の僧侶に依頼するのが一般的です。しかし、菩提寺が分からない場合や遠方にある場合は、仲介業者を通じて読経を行ってくれる僧侶を探すことができます。この場合は、自分の宗派と同じ宗派の僧侶に依頼するようにしましょう。宗派が異なる場合でも、相手の宗派の僧侶に依頼することができる場合がありますので、仲介業者と相談して適切な僧侶を見つけることが大切です。
新盆に招きたい人にも早めの連絡
新盆の法要に招待したいと考えている方は、お盆の時期であっても、仕事がある人や遠方から来る招待客もいることを考慮し、早めに伝えるようにしましょう。特に遠方からの招待客は宿泊先の手配や交通の手配をする必要があるため、余裕を持って早めに知らせることが重要です。また、新盆までに時間の余裕がある場合は、招待客の都合を考慮して日程を予め確認し、法要の日程を決定する方法もあります。
日程だけでなく、会食を行うかどうか、会場がどこなのかも招待客に伝えておきましょう。会食を行う場合は、招待客に食事の準備をしてもらう必要があるため、早めに知らせておくことが大切です。また、簡易法要を近親者のみで行う場合は、礼装の必要性があるか否かも招待客に伝えておくと良いでしょう。新盆の法要に招待する際は、招待客に不明点や疑問点がないように、事前に丁寧な連絡を心がけましょう。
会食の手配
新盆の法要において会食を行う場合は、通常は法要を行う会場の近くにあるレストランを利用するか、法要を行う会場で提供されているスペースを借りる形が一般的です。会食を行う際には、必ず法要に招く僧侶にも会食への参加の可否を確認しておくことが重要です。僧侶も多忙であるため、日程の都合や宗派による習慣などを考慮して調整する必要があります。
また、会食を手配する際には、参加人数の変更やキャンセルの期日について事前に確認しておくことで、急に来られなくなった招待客が出た際にも迅速に対応できます。さらに、メニューの決定に際しては、招待客の食物アレルギーなどの特別な要望にも事前にリサーチを済ませておくと、よりスムーズに手配できるでしょう。新盆の法要において会食を行う場合は、招待客の要望や僧侶のスケジュールに配慮しつつ、準備を進めることが大切です。
新盆に準備するもの
宗派による違いや簡易法要にする場合もありますので、必ずすべて必要になるものではありません。準備物について迷ったら、法要を行う会場や招待する僧侶に問い合わせてみましょう。
盆提灯
盆提灯は、お盆に帰ってきた故人の御霊が迷わず辿り着けるように目印として設置されるものです。白い盆提灯は新盆で使われ、色柄の入った盆提灯は翌年以降のお盆に使用されることが一般的です。新盆で使われた白提灯は、送り火で燃やすか、菩提寺で供養してもらうなどして1回きりの使用になります。
吊り提灯や置き提灯は、自宅では玄関やベランダに設置されます。もし法要を会場で行う場合は、直接会場で提供してもらうこともあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。また、自分で白提灯の供養を手配する際は、菩提寺へ事前に確認しておく必要があります。盆提灯は故人への思いを込めた大切なアイテムであり、適切に手配し供養することが大切です。
お供え物
新盆のお供え物は一般的に以下のようなものがあります。
・ジュースや酒類
・水ようかん、砂糖菓子(らくがん)、果物、団子
・お花(菊やミソハギなど)
飲食物が多いのは、新盆で帰ってきた御霊をもてなし、飢餓に苦しむことがないように供養する意味が込められているからです。日持ちしやすく、盆中に備えておけるものが選ばれることが一般的であり、法要後には親族や招待客で分け合われることがよくあります。
仏花に関しては、トゲや強い香りのあるもの(例:バラなど)や縁起が悪いとされるもの(例:椿、黒い花)は避けることが一般的です。代わりに仏花としてよく知られているもの以外でも、花言葉を意識して選んだり、故人が愛した花を供えたりすることもあります。お供え物は故人への敬意と感謝を込めて選び、大切に供えることが大切です。
精霊棚
精霊棚(しょうりょうだな、せいれいだな)は、精霊馬や位牌、お供え物を置くために設置される棚で、通常は仏壇の前に設置します。設置する際には、長机などの上に敷物や真菰(まこも)を敷き、中央に位牌を置き、その周囲にお供え物やお花、線香、ろうそくなどを飾ります。
精霊棚の両脇には提灯を設置することが一般的ですが、宗派や地域によっても違いがありますので、仏具店でセットになっているものを購入するか、菩提寺で事前に確認を取ることがおすすめです。精霊棚は故人を迎えるための特別なスペースであり、大切な法要の場となります。丁寧に飾り付けを行い、故人への敬意と感謝を表すことが大切です。
精霊馬・精霊牛
精霊馬(しょうりょうま、しょうりょううま)は、お盆の時期に使用される飾り物で、キュウリに割り箸などを刺して馬の形を模したものです。この飾り物には故人の霊が馬に乗って早く帰ってくることを願う意味が込められています。
一方、精霊牛(しょうりょううし)は、ナスを使って牛の形を模した飾り物で、お盆の終わりに故人の霊がゆっくりと帰ることを願う意味が込められています。また、牛は力強く荷を引く生き物としても知られているため、食べ物や供え物を持ち帰ってもらう役割もあります。
これらの飾り物は精霊棚に飾られ、法要後は食べるのではなく、布で包んで清め塩を振りかけて処分したり、送り火の際に供養されることが一般的です。大切な故人の帰りを願い、思いを馳せる瞬間に、精霊馬や精霊牛が使われることで、新盆の法要により深い意味が加わります。
僧侶へのお布施
僧侶へのお布施は、一般的に30,000円から50,000円程度が主流です。また、自宅で法要を行う場合は、その他にお車代として10,000円程度を加えてお渡しすることが一般的です。さらに、僧侶が会食を辞退された場合は、御膳代として5,000円から10,000円程度をお渡しすることが一般的です。
これらのお布施は、水引ではなく白の無地封筒に「御布施」「御経料」と黒墨で書いたものを使います。直接手渡すのではなく、盆などに乗せるようにしましょう。それぞれお車代と御膳代、御布施に封筒を分けて用意しておくと便利です。新盆の法要においては、故人への感謝の気持ちや心からの供養を込めて、適切なお布施を行うことが大切です。
参加者への返礼品
お供え物や香典の返礼品には、一般的に1,500円から3,000円程度のタオルや菓子折り、お茶などを用意することが一般的です。事前に参加が確定している人数に加えて、予備として1,000円程度の返礼品を準備しておくと安心です。
もし頂いた香典が高額だった場合は、後日カタログギフトや高級ギフトなどを郵送で手配することもあります。香典返しについては、半返し(頂いた額の1/2程度)が一般的な考え方ですが、お気持ちを添える意味もあるため、必ずしも厳格に半返しする必要はありません。相手への感謝の気持ちを込めて、心からの返礼品を送るようにしましょう。香典返しは謝礼としての側面も持ちますが、大切なのは故人への供養を心から感謝する気持ちを表すことです。
新盆の準備が終わってからの流れ
新盆の準備を終えたら、新盆に行う法要に移ります。一般的には7月もしくは8月の13日に迎え火、16日に送り火を行います。
迎え火
迎え火は新盆の13日の日中に、お墓参りを済ませることが一般的です。その後、夕方頃に迎え火を行います。迎え火の焚く場所は宗派や地域によって異なりますが、主に玄関や門戸口、お墓などが一般的です。焙烙(ほうろく)という素焼き皿にオガラを乗せて火をつけるのが一般的な方法です。
迎え火にはさまざまな風習があります。一部の地域では松明やろうそくを道に沿って並べることが行われることもありますし、盆提灯を手に持ってお墓までお迎えに上がる風習もあります。また、火を焚くことが制限されている場合、例えばマンションなどでは、代わりに盆提灯を軒先に吊るすことで迎え火の意味を込めることも行われます。このように迎え火には地域や宗派によって様々な形式がありますが、いずれも故人を迎え、御霊を迷わせずに帰途につかせるという意味を持っています。
送り火
送り火はお盆の最後の供養として、15日の夕方から16日の昼間にかけて行われます。15日の午前中までは御霊が家にいるとされているため、それ以降に供養するのが一般的です。迎え火と同様に、焙烙(ほうろく)にオガラを乗せて火をつけ、白の盆提灯や精霊馬と共に焚き上げて故人を送ります。これが新盆の締めくくりとなります。
送り火にも地域や風習によって異なる形式があります。特に有名な例としては、灯篭流しや大文字焼きで知られる「五山の送り火」があります。この行事では、川や湖などに灯篭を浮かべたり、巨大な山形の灯篭を焼き上げたりして故人を送ります。さまざまな地域では、送り火を三度またぐことで健康を祈願したり、送り火の際に読経を行ったりする独自の風習も見られます。
送り火はお盆の終わりに行われる大切な行事であり、故人を偲び、御霊を見送るとともに、新盆の期間を締めくくる意味を持っています。
新盆(初盆)の準備|まとめ
新盆は、故人が初めて現世に帰ってくるとされる時期であり、迷わず帰ってきてもらえるようにしっかりと準備をすることが大切です。宗派や地域によって必要な物が異なるため、菩提寺や法要会場に問い合わせることが重要です。
準備する際に忘れてはならないのは、故人を供養しようという心の気持ちです。供養の意味を理解し、故人を偲び、大切な人を送り出す気持ちを大切にしましょう。
この記事で解説した情報を参考に、新盆の準備を行ってください。故人にとって心温まる供養を行うことができることを願っています。