all 手続

故人の口座が凍結されるのはいつか

銀行が故人の口座を凍結させるタイミング

銀行は、その人の逝去を知った時、「その銀行」にある故人名義の口座を凍結します。

口座が凍結されると、出金や振り込みができなくなるだけでなく、引き落としや入金なども一切できなくなります。
口座が一切機能しない状態になるわけです。

現在、銀行が口座を凍結させるタイミングは、銀行に委ねられていて、実は決まった期日や決まった確認方法はないのです。

死亡診断書を書いた時点で口座が凍結することはありません。
また、役所に死亡届を役所に出し、葬儀を営んだとしても、それを銀行が知る手段はありません。

銀行が名義人の死亡を知る最も多いタイミングは「家族などからの申し出」です。
その他に、新聞のお悔やみ欄や町内会の掲示板で見た、葬儀を見かけた、人づてに聞くなどで死亡を知った場合も、真偽を確認したうえで口座は凍結されます。

すべての銀行の口座が一斉に凍結されるのか

現時点では、銀行同士が顧客の死亡情報を共有しているわけではありません。
ですから、一つの口座が凍結されても、死亡を把握していない銀行の口座は凍結されていないといった状態も起こります。

その人が死亡した時点で、口座に残ったお金は相続の対象となる遺産となるため、遺言書があるなどの特例を除き、それは相続人全員が話し合って分割する財産です。
どのように分割して受け取るかがはっきり決まるまでは、誰かひとりが勝手にお金をつかうことはできません。

口座が凍結されてもお金が引き出せる

相続人同士で遺産をどう分けるか決めた後ならば、所定の手続きをすることで、凍結口座にあったお金を全額受け取ることができます。

けれど、病院への支払いや葬儀代金、家賃や公共料金の引落しなどが故人名義になっていた等の場合は、遺産分割の話し合いをするより前にお金が必要な場合もありますよね。

そのようなときに利用できるのが「仮払い」という制度です。
これは令和元年6月に法改正で新たに設定されたもので、これによって遺産分割協議の前に相続人が預貯金(限度額あり)を受け取ることができるようになりました(民法/相続法)。

相続法
民法のうち、人が死亡した場合に、その人の財産がどのように相続されるかなどについて定めた法律

限度額の範囲内であれば、相続人同士が遺産をどう分けるか決める前にもお金を受け取ることができるのです。

仮払いをする最も簡単な方法は、相続人が銀行の窓口で申請をすることです。
けれど、相続人の一人が銀行の窓口で引き出して受け取れる金額には制限があります。

仮払いできる金額:
故人のその口座の残高の「1/3x相続人の法定相続の割合」で、150万円を超えない額です。

それを超える額の引き下ろしが必要な場合は、相続人全員から同意書をもらって銀行で手続きをするか、家庭裁判所への申立てが必要となります。

どちらの場合も、そのお金は「相続の対象」となりますので、何に使ったかをはっきり記録して残しておくことが必要になります。

-all, 手続
-