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数珠はどちらの手にかける?合掌の持つ意味

数珠

数珠は「じゅず」と読みます。古くは「ずず」とも言いました。
仏式(仏教スタイルでの)葬儀の、お坊さんの読経の際やお焼香時に必要です。
また、お墓参りの際にも使いますね。

もともとは、念仏の回数を玉の数で覚えておくためのものだったことから、念珠(ねんじゅ)と呼ばれることもありますが、どちらも同じものを指します。

正式な数珠は珠の数が108個。
数珠を手にして祈ることで、煩悩を取り去ってくれるとも言われていて、日ごろ仏壇に手を合わせるときに使用する方もいます。

本来は宗派により細かい決まりごとがあります。

自分の宗派に合わせて準備してもいいのですが、違う宗派の仏式葬儀に参列する際や、故人の宗派がわからない場合には困りますので、略式数珠を一つ持っているとよいです。

略式数珠とは

仏教のどの宗派でも使うことができる数珠です。

略式、と名前がついていますが、現在一般的に使われている数珠の大半がこの「略式数珠」です。

仏教徒であれば宗派に合わせた正式な本式数珠を持ちますが、それ以外の人なら、葬儀や法事を執り行う側も、参列する側も、この略式数珠を使って問題ありません。

片手にかけることができる短い一重(あるいは二重)のものが一般的です。
「片手念珠」ともいいます。本式の数珠のように珠は108個ありません。
男性用は珠が大きく、女性用や子供用は珠が小さめです。

仏具店のほか、デパートや専門店、大きめのスーパーやホームセンターなどで買うことができます。

急な葬儀で準備をしていない場合は、斎場やお寺の売店で売っていることもありますし、100均でも手に入ります。
また、喪服のレンタルなどを依頼すると数珠や黒いネクタイ、靴などもセットで借りられることがあります。

色や素材もさまざまで、基本的に好みで選んでよいと思いますが、手首にぴったり巻くタイプのパワーストーンは数珠ではなくブレスレットなので、葬儀で使うことはできませんし、代用することもできません。

数珠の持ち方

葬儀の弔問の際には、房を下にして左手に持ち、祈る際には両手を添えます。

左手の親指と人差し指の間に輪をかけるような格好です。
(宗派によっては、両手を合わせ、左右両方の親指と人差し指の間に輪をかけるやり方も)

仏教では左手が「不浄=現世・衆生」、右手が「清浄=仏の世界」とされています。

この左手と右手を合わせた形が「合掌」で、「仏と衆生が合体した姿」とされ、成仏を現すと考えられています。

左手に数珠をかけるのは、現世の穢れを清めるためという説もありますが、定かではありません。

数珠は、読経の時以外は、左手首にかけていてもかまいません。読経が始まった際、読経の中途から参列する際などに、カバンからごそごそ…とならないよう、ポケットや小さめのバッグに入れてすぐに取り出せるようにしておくとよいです。

葬儀を終えて、数珠をしまう際には、房をティッシュなどでくるんで、房がよれて折れたり跡がついたりしないようにします。
数珠袋にしまって、袱紗やその他の葬儀で使用する小物と一緒にしまっておくと便利です。

また、小さな子供も、大人と同じように数珠を持ちたがります。
どちらかというとおもちゃ感覚ですが、同じようにしっかり持たせてあげるといいと思います。

口に入れてしまうほど小さいうちは不要と思いますが、小さくても大切な人を見送る、厳かな儀式に参加しているのだ、という気持ちになるのではないかなあ、などと思います。

数珠は借りても大丈夫か

やむを得ない場合は仕方ないとも思いますが、葬儀の場で使いまわすのは好ましくありません。

私も、家族の数珠を忘れてきてしまったことがあり、交代で使ったことがありますが、貸し借りはしないほうがいいなと感じました。

数珠は、それを手にかけて祈ることで、煩悩を取り払ってくれるお守りのような役割も持っていますから、ひとりひとつ、自分専用のものを持つのがいいようです。

また、焼香時は、焼香のために並ぶ人以外は、たいてい動かず前を見ていますので、ちょっとした動作も案外目立つ印象でしたので、マナー的にもよくない気がします。

場の雰囲気やしきたりにもよりますが、参列して数珠を持ち合わせていない場合は、そっと貸し借りをして悪目立ちするよりも、むしろ持たないで手を合わせる方がいい気もしました。

宗派によって数珠の種類が少し異なることから、信仰を捨てることや、改宗することを「数珠を切る」と言い表したりします。そこから、物事をすっぱりとあきらめるという意味も派生しました。

故人を弔う気持ちも人それぞれなように、ひとつずつあるように、数珠も一人一つ持ってのぞみましょう。

数珠をもって参列してはいけない葬儀

数珠は、仏式、つまり仏教に則って行われる仏事の際にのみ使用するものです。
葬儀や祈りの際に数珠を使うのは「仏教のみ」、神道やキリスト教式の葬儀の際には、使用しません。

神道式の葬儀では、数珠は使いませんし、焼香もありません。
同じくキリスト教式の葬儀でも、数珠や焼香はありません。
※キリスト教式の葬儀でロザリオを使うことがありますが(カトリック系のみ。プロテスタント系は使いません)、一般弔問客が持参することは特に求められていません。

とはいっても、特別な案内でもない限り、参列してみるまで故人の宗派がわからないことは多いです。
葬儀に参列する時には、念のため数珠を持参しておき、使わない場合は取り出さず、そっとしまっておくのが無難です。

神式、キリスト教式の葬儀は仏式のお香典にあたるもの(や、その袋)、お悔みの言葉のかけ方なども異なります。
これは、「死」と「死後」の考え方、とらえ方の違いによります。

細かくは宗派などにより異なりますが、大まかには以下のような違いがあります。

仏式の場合、故人は仏様に導かれて、自分も仏様となって極楽浄土へ行く。
もう戻っては来ないし、二度と会うことはできないので、見送るのが葬儀。

神式の場合、故人は遺された家族の守り神となる儀式が葬儀。
八百万の神と同様に、神様になってそこに残る。

キリスト教式の場合、故人との別れを嘆く家族を慰めるのが葬儀。
魂は天国に行き、やがて生まれ変わるとされています。

 

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