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墓地や埋葬に関する法律と散骨

墓地・埋葬等に関する法律

「墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)」では、遺骨を認可された施設(お墓)以外に埋葬してはいけないとしています。
けれど、埋葬するのではなく「撒く」行為については、実は法律に規定がないのです。

昭和の終わりころまでは、散骨という行為は、墓埋法上の禁止行為である(お墓以外への埋葬)という認識が主流でした。
また、刑法(遺体の遺棄)という視点から見ても、お墓以外の場所に遺骨を置く、撒くというのは好ましくないと言われていました。

けれど、その認識に異を唱える団体があらわれたことをきっかけに、現在では散骨は「葬送の範囲内であれば」可能となりました。
ただし、どこに撒いてもいいわけではなく、地域などによりルールは存在します。

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散骨が認められた理由

1991年に「お墓に埋葬しなければならない」という従来の慣習に違和感を持った人たちが「葬送の自由を進める会」という団体を作ったのだそうです。
死者を葬る方法は、故人と遺族が自由に決めていいものだと思う…と「葬送の自由」を求めました。

とはいっても、やみくもに誰もが好きな場所に遺骨を撒いたり放置しては、社会が混乱してしまいます。
そのため、会では、社会が混乱することがないような一定の指針を設けつつ、自然の理にかなったお弔いの実践につとめているのだそうです。

なるほど、確かにお墓に入りたくない人もいるだろうし、入りたくても入れない事情や思いがある人もいるかもしれないです。
人の思いはそれぞれですから「死んだら必ず埋葬しなければならない」という概念は、なくてもいいのかもしれませんね。

2010年11月4日付「朝日新聞」朝刊の「死生観」世論調査によれば、自然葬への関心は、「ある」が39%、「ない」は59%。自然葬と墓地埋葬では「自然葬」が21%、「墓地埋葬」が69%で、墓地への埋葬を望む人は多いが、自然葬がすでにある程度は定着してきている実情を示している。

これまで「墓地・埋葬等に関する法律」(墓埋法)によって、焼骨でも骨灰でも海や川にまき散らすことはできないとされてきた。
しかし1991年、葬送のあり方は基本的人権の一環だと主張する「葬送の自由をすすめる会」によって、初めて相模灘で散骨が行われた。

この時法務省は、刑法の遺骨遺棄罪との関連で「葬送のための祭祀で節度をもって行われるかぎり問題はない」との見解を示し、厚生省(当時)は「墓埋法では散骨を想定していないため法の対象外」とした。もはや散骨は違法ではなくなっている。

散骨/自然葬『情報・知識イミダス』より引用

節度を持った、葬儀のための散骨は違法としない、という見解を国が示したわけです。
以降、その考えに賛同する企業などが一定の自主規範のもと、その地域の自治体と連携しながら散骨を行っているのです。

散骨の種類

散骨には、大きく分けるなら「海への散骨」と「野山への散骨」「樹木葬」があります。
(この3つのうち、樹木葬には、お墓と同じように所定の施設の区画や権利を購入するものもあります)

言葉の通り、海への散骨(海洋散骨)は海に遺骨・遺灰を撒いて弔う方法、野山への散骨(山林散骨)は、山などに遺骨を撒きます。
骨壺や容器におさめたまま海や山に埋葬するのではなく、規則で決められたのサイズより細かい粉状に粉砕しておく必要があります。

海や山の、その場で法要(お坊さんにきていただいて読経するなど)を執り行うかどうか、参列者はどのくらいか、などによって料金は変わってきます。
遺族が参列せず、散骨を業者さんに代行してもらうことも可能です。

撒いたお骨はもう手元に残りませんから、散骨をする際には、遺された遺族全員が「散骨という葬送方法でよい」と納得する必要があります。
手元でも供養したい場合は、部分散骨(遺骨のすべてを撒くのではなく、一部を撒く)という方法を選ぶこともできます。

 

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