散骨は法律違反か
日本で人が亡くなると、火葬しなければならない。
これは公衆衛生という意味も含めた義務です。
埋葬については「必ずお墓を準備して、そこに埋葬しなければならない」という法律はありません。
けれど、お墓を勝手に掘り起こしてはいけない、遺骨や遺髪を好き勝手に放置(遺棄)してはいけないと法律で定められています。
(墳墓発掘)刑法第189条
墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する。(死体損壊等)刑法第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。(墳墓発掘死体損壊等)刑法第191条
第189条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。e-Gov法令検索より引用
「死体遺棄罪」「死体損壊罪」?
刑事ドラマなどで、殺人犯が遺体を山林に埋めたりして隠すことは、殺人罪+死体遺棄罪です。
この物騒な罪には、火葬前の遺体だけではなく「遺骨・遺髪」も含まれているのです。
これは死者を冒とくしてはいけない、敬って埋葬しましょうね、という考え方に基づくものらしいです。
遺棄とは、捨てて顧みないこと。
殺人事件では主に「移動させて、打ち捨てる」ことが罪となりますが、病気などで亡くなった人の亡骸を、家族が放置すること、それが一般的に埋葬とは認められない形だと、罪となります。
想い出のある場所、故人が好きだった海。
海に散骨したい気持ちはもちろんわかりますが、やり方を間違えると打ち捨てる行為にもみえてしまうこと、また、その海辺に住む人にとっては、他人が来て骨を撒いていく行為は気持ちがいいものではありません。
海洋散骨を請け負う業者でも、周囲に配慮して喪服などは着ないで来てくださいとひっそり儀式を執り行うケースもあります。
いろいろな海洋散骨を請け負う会社がありますから、故人の希望に沿った散骨をしてくれるところを探しましょう。