法要

弔電マナーと例文

弔電(ちょうでん)とは、故人の葬儀に参列できない場合にお悔やみの言葉を伝えるための電報です。
故人に宛ててではなく、喪主・ご遺族に対してお送りします。

親族や親しい付き合いがなくても、故人をお見送りしたいという気持ちがあれば、誰が送っても問題ありません。

以前はごく短い短文しか送ることができませんでしたが、現在ではやや長めのメッセージも送ることができます。
故人の逝去を知っての驚きや悲しみの気持ちとともに、遺族の悲しみに寄り添い、ご冥福を祈る言葉を送ります。

注意

よくある「お悔みの言葉」は、仏教でしか使わない言葉や、仏教ならではの死生観に基づいたものがあります。
キリスト教や神道では、お悔みは言いません。
大切な人が亡くなっても悲しくないという意味ではなく、死が意味するものが違うので「死=悔やむものではない」という考え方です。

ご冥福、極楽浄土、成仏、謹んでお悔やみを、などは仏教専用です。
故人がキリスト教式の葬儀を行う、神道式で行うとわかっている場合は、こういった言葉は避ける方がいいです)

けれど、一番大切なのは故人や遺族の方々を思いやる気持ちと、葬儀中に到着させるスピード感です。
今の日本では仏教式の葬儀が大半なので、仮にお悔みを送ってしまったとしても、大きな失礼にはならないと個人的には思います。


従来からある電話での申込(局番なし115)のほか、スマホやパソコンからも電報配達の申込をすることができます。
ネットなら、例文から簡単に選ぶことができますし、電話でも、故人との関係や宗派などわかる情報を伝えることで適切なメッセージを提案してもらえます。

お線香やろうそくを一緒につけるセット品もありますが、基本お香典とセットで送ることはできません(別々に手配です)。
NTTのほか、複数の企業が電報サービスを受け付けています。

 

葬儀に参列する場合も弔電が必要か

弔電は、葬儀に参列できない場合に送るものなので、お通夜か告別式のどちらかに参列する場合は、弔電は送る必要はありません。

会社等の取引先で、代表の者だけが参列した場合は、別途、自社の社長名や同僚一同(連名)といった形で弔電を送ることもあります。

弔電はいつ、どこに送ればいいか

斎場や会館がわかる場合は、そこに送るのが最もスムーズです。
故人や喪主の自宅に送っても失礼には当たりませんが、不在の場合は不在票が残され再配達となりますので、受け取りが遅くなってしまう可能性があります。
通夜か、遅くとも告別式前には到着するように手配する必要があります。

弔電は誰に送る?

宛名は、喪主にあてて送るのがマナーでもあり、トラブルを避けるためにも最適です。
喪主の名前がはっきりわからない場合は、故人名を添えて「故○○○○様 ご遺族様」といった形で送ることができます。

ただし、弔電で最も大切にしたいのは「葬儀の間に届ける」ことです。
電報は時間単位で到着の時間帯が変わってきます。
訃報を聞いた時、葬儀は目前、当日や翌日であるということも珍しくないです。

まさに悲しみに暮れている遺族の方に、喪主の名前を問い合わせるためだけに連絡をするのは避けたいです。
マナーにこだわり大きく時間をロスするよりも、早くお届けすることを優先したほうがいいと思います。
「故人の名」さえ記載してあれば、間違うことなく届けることができます。

故人との関係が遠い場合

直接は面識がない、知人のご家族や親族が亡くなって、弔電を送る場合。
弔電の送り主(自分)と故人の関係がなく、何者かわかりづらいかもしれない…という場合は「〇〇(喪主のお名前)様方 〇〇(知人)様」とすることもできます。

注意点として...

自分が知っている遺族(知人)宛てて葬儀場に弔電を送ると、誰あてのものかわからなくなってしまうかもしれません。
葬儀を行う施設には、毎日多くの弔電が届きます。
お知り合いが故人と同姓であっても、大きな葬儀場だと紛らわしいです。

弔電は何日、何時間で届くか

弔電は、シンプルなものであれば、送る地域・依頼の時間帯によっては当日配達も可能です。
夕方以降の申込や、お花とのセット、お線香付きなどのタイプだと翌日到着になることも多いです。

弔電の例文

弔電は、丁寧な言葉を使って、ごく短く伝えます。
誰もが目にして、お式で読んでもらう可能性もあります。
伝えたい感謝の気持ちが多すぎて便せん何枚にもなりそうなときは、別途の機会にお線香など添えたお悔やみの手紙などで伝えましょう。

弔電の例文で一般的なのは

ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、 心からご冥福をお祈りいたします。
〇〇様のご逝去を悼み謹んでお悔やみ申し上げます。

弔電に盛り込むメッセージ

①自分が訃報を知って、驚いた、悲しいという気持ち。
②ご遺族の悲しみを察する気持ち。
③故人のご冥福を祈る気持ち
(注意:仏式以外は「お悔み」は避けます)。

故人との思い出や感謝を簡単に盛り込むと、ご遺族も故人への何よりのお慰めになるのではと思います。

④故人にお世話になった感謝
⑤故人との思い出
⑥参列できない非礼へのお詫び

①自分が訃報を知って、驚いた、悲しいという気持ち。

〇〇様のご訃報に接し
突然の悲報に(ご逝去に)
悲しいお知らせに
ご逝去の報に

ただ驚愕しております
ただただ悲しいばかりです
悲しみに耐えません
悲しみの気持ちでいっぱいです
深い悲しみに襲われています
呆然としております
動揺しております
悲しみの気持ちでいっぱいです
信じたくない思いでいっぱいです
お慰めするすべもございません
元気だったときのお姿が思い起こされ、言葉が見つかりません

②ご遺族の悲しみを察する気持ち。

(喪主様をはじめ)ご遺族の方々のお悲しみはいかばかりかとお察しいたします。
皆様お心落としのことと存じますが、 一日も早くお悲しみから立ち直られますように
こんな突然のお別れになるなんて、悔しくてなりません
最愛の〇〇様がお亡くなりになられた悲しみは、 計り知れないものとお察しいたします
皆様ご落胆のことと存じますが、どうぞご自愛くださいませ
ご家族の皆様がお力を合わせて、悲しみを乗り越えていかれることを祈っております
どうぞお気を強くなさってください

④⑤故人にお世話になった感謝や思い出

お元気だったころのお姿ばかりが目に浮かびます
共に過ごした思い出が多く、思い出は尽きません
ご生前の笑顔ばかりが目に浮かびます
故人は〇〇のようなお方でした
お元気だった故人の面影が目に浮かびます
教えていただきたいことが、たくさんありましたのに
幼なじみの友との別れの報に接し、悲しみでいっぱい
何事にも全力投球だった〇〇様

これまでのご厚意、誠にありがとうございました
長年「家族のため」と精一杯働いてくださり、本当にありがとうございました
先生の尊いお教えは、私の心の中に生き続けます

⑥参列できない非礼へのお詫び

お別れもできなくて残念です
遥かな地よりご冥福をお祈りいたします
故人のご冥福を祈って、遠い地で手を合わせております
お別れにも伺えず、残念でなりません
時節柄、駆けつけることが叶わず残念でなりません

※「不躾・非礼をお詫びします」といった表現はせず「参列がかなわず自分が残念だ」という気持ちをお伝えするのがよさそうです。

③故人のご冥福を祈る気持ち。

故人のご冥福をお祈りいたします
故人が安らかにご永眠されますよう心よりお祈り致します
心からのご冥福をお祈りいたします
どうか安らかにお眠りください
安らかな旅立ちでありますように
衷心より哀悼の意を表します
故人のご冥福をお祈りいたします
ご生前の功績を偲びますとともに、謹んで哀悼の意を表します
ご生前のお姿を偲び心からお悔やみ申し上げます
ご生前のご厚情に深く感謝申し上げますとともに、ご冥福を心よりお祈りいたします

安らかな旅立ちでありますよう、心からお祈りいたします
安らかにお眠りになられることをお祈りいたします

 

孫から祖父・祖母の弔電を打つ場合

弔電は故人ではなく喪主に宛てて送ります。
ですから厳密には「喪主にとって故人は誰か」によって「故人」を表す言葉が違ってきます。

喪主の父親:お父様、ご尊父様
喪主の母親:お母様、ご母堂様
喪主のご主人:ご主人様、ご夫君様
喪主の奥さん:奥様、ご令室様

たとえば、
知人の母親が逝去して、喪主が夫(知人から見て父親)の場合。
故人を表現する際には「奥様、ご令室様」となります。

同じように、
祖父や祖母が逝去し、その配偶者が喪主なら故人は「御父君様、御令室様」となります。

祖父や祖母が亡くなって(自分の両親や)叔父・叔母が喪主の場合。
喪主から見た故人は「親」となりますので、故人は「御尊父様、御母堂様」となります。

けれど…
孫から見れば大事な「祖父母」でもあります。
そこにこだわりすぎると、おじいちゃんやおばあちゃんへの感謝を伝えるメッセージがうまく作れません。
孫といっても30代、40代…というならマナーにもこだわりたいですが、
まだ年若い孫からのメッセージであれば、心がこもっているほうが故人や遺族はありがたいと思います。

それでも、マナーは守りたい、という場合は、
たとえばこういった形で、表現を織り交ぜてはどうでしょうか。

孫を代表して送る弔電の例

ご尊父様は私たちにとっても、よき祖父であり、
いつも太陽のような笑顔で私たちを慈しんでくださいました。
幼い頃の楽しい日々が思い返され、悲しみでいっぱいです
孫一同、ご尊父様のご冥福を心からお祈りいたします

いつもあたたかい笑顔で迎えてくれたおじいちゃん
たくさん遊びに連れて行ってくれてありがとう
おいしい料理をたくさん作ってくれてありがとう
おじいちゃんのように、強く優しい人でいたいと思います

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